ビューティ・コラムcolumn

第38回 老化撲滅大作戦<その8>本当のアンチエイジングとは?今しみじみ想うこと:それはストレス抹殺、それが美しい肌、豊かな心、素晴らしい人生を実現します。

当院を開業したのが1999年3月、光陰矢のごとく、月日の経つのは早いもので、すでに開院してから6年以上が経ちました。

今この原稿を書いているのは2005年7月です。最近よく患者様やライターの方からよく言われるうれしいことがあります。それは、「先生が前よりずっと若くなっている、生き生きしている」ということです。先日7年ぶりに自由が丘クリニック時代の患者様が来院されました。そのとき、「先生いったいどうしたんですか?先生の弟さんが外来やっているのかと思いました。以前よりずっと生き生きして、肌につやがあり、かっこよくなっていますよ」と男性の患者様に言われました。また2年ぶりにきた患者様には、「先生どんどんマッチョになっていますね、顔もずっと引き締まっていますよ」と大変うれしいことをいわれました。久しぶりに取材で開院以来お会いした、ライターの方には「開業当時は気息奄奄で非常に毎日がつらそうだったけど、今だから言えるけど、先生大丈夫かしらと思っていたんですよ」といわれました。今は本当にお元気ですねと言われました。いったいどうしてこのような事を言われるようになったのでしょうか?

いくつか思い当たることがあります。まず、青山ヒフ科クリニックの外用剤を自分で使用を開始したときです。これが最初に肌がきれいになったと患者様に言われた時です。2回目はストレスを克服するために、運動をはじめたときです。開院前は自由が丘クリニックの皮膚科部長をしていました。この時は気楽な勤務医でした。毎日、おはよう、お疲れ様、じゃーねーバイバイと気楽なサラリーマンをしていたわけです。ところが、青山ヒフ科クリニックを開院したとたんにすごいプレッシャーやつらさ、いわゆるストレスというものを感じるようになってしまったのです。全国からたくさんの患者様が来院して、近所の皮膚科に行ってもぜんぜんよくなりません。何とかしてくださいということで来院されます。これをよくするためにと、いろいろな治療法を考えます。この時、交感神経が緊張します。この交感神経の緊張が極度に増してしまったため、家に帰って、リラックスしようとしても、まったく交感神経の緊張がとれないのです。交感神経はバトル状態のときに優位となる自律神経です。バトル状態の時、心臓はドキドキして血糖値も増加します。そして血液は脳、眼、そして筋肉などに優先して送られます。肌には血液が行かなくなり、ツヤやハリが低下します。相手に殴られてもいいように、バリア機能を上げようとして皮脂分泌は増加します。しかしながら肌への血流低下によるバリア機能の低下により、肌があれてきます。いわゆる毛穴が開いているけれども、カサカサした、ハリやキメのない肌になってしまうわけです(図1-2)

このような状態ではストレスのためにアドレナリンやステロイドホルモンなどいろいろなホルモンの分泌が盛んになります。これらのホルモンの分泌や合成になくてはならないものがビタミンCやB群なのです。これらが足りなくなるとコラーゲン合成ができなくなり、シワやタルミが生じやすくなります。そうです、ストレスは肌の老化を促進するのです。また唇は皮膚から粘膜に移行する部位で、皮脂腺や汗腺もなく、角層も非常に薄いので、荒れやすいという特徴があります。ストレスでビタミンCやB群が欠乏するとすぐにあれてしまいます。(図3)

自律神経のバランスが取れている場合、交感神経の緊張は低下し、逆に副交感神経のテンションがあがってきます。しかしながら、交感神経の緊張が余りに強い場合には、リラックスしているときに優位となるべき副交感神経のテンションがまったく上がらないのです。いわゆる自立神経のバランスがくずれた状態です。(図4)

開業当時の私はまさにその状態でした。またストレスの多い現代社会では大勢の方が、ストレスによる毛穴の開き、シワ、タルミなどの肌のトラブルや体調のくずれ、全身倦怠感などで来院されています。副交感神経は胃腸などの内臓の運動を活発にしますが、副交感神経のテンションがないために、内臓が動かず便秘になります。肩もこってきます。仕事とは軽度のバトル状態が長く継続するものなのです。そして交感神経のテンションが下がらないことによる、最大の苦痛が安眠できなくなることなのです。早めに寝ようと強い睡眠薬を2錠飲んで11時にベッドに入ります。でも午前2時に眼がさめてしますのです。また2錠飲んでも午前4時にまた眼がさめてしまうのです。そしてうつらうつらしながら明け方を迎えるという日々が継続しました。そんな日々を継続しながら、真剣にストレスとはいったい何か?交感神経、副交感神経のバランスをよくするためにはどうしたらいいのかを検討しました。

その結果、いろいろ興味深いこのがわかりました。われわれ人類は太古の昔から獲物を求めて、野山を駆け回るという生活をしてきました。お腹が一杯になったら、寝て、楽しくなったら太鼓をたたいて踊ってという生活をしてきました。それが農業を始めるようになり、簡単に食料が手に入るようになりました。その結果、あまってしまった時間に他の生物が決してしないこと、“仕事"、“勉強"ということを始めるようになったのです。これらの行為はじっとして頭を使うけれども、体はほとんど動かさないものです。私はこれがストレスの本質ではないかと考えました。

ストレスとはもともと工学用語で“金属にゆがみを与える刺激とその反応"と定義されました。その後、心理学者のセリエがストレスとは“生体にゆがみやつらさを与える刺激とその反応と定義したのです。われわれ人間は動物です。体を動かす事が生命の本能に従った行動なのです。ネズミをまったく運動させないで飼育するよりも、運動させながら飼育したほうが長生きするという事実があります。ヒトでも適度な運動をしたほうが、高血圧や高コレステロース血症などの成人病が予防されて、長生きするということがわかっています。運動すると代謝が上がりますが、同時に活性酸素が大量に発生します。活性酸素は老化を促進することはよく知られた事実です。これを老化のパラドックス(矛盾)として、老化撲滅大作戦その1で述べました。しかしながらその後いろいろ調べてみたところ、非常に興味深い事実がわかりました。ヒトはじっくりと運動量を上げていくことにより、肺からの酸素の摂取量が増加する、心臓からの血液の拍出量も増加する、細胞での代謝が増加するということがわかってきたのです。そして一番大事なことは、その際発生する活性酸素の消去能力も増加するのです。やはり適度な運動するということは動物の本能なのですね。そして運動に適応する能力も充分に持っているのです。動物が運動をして活発な状態を維持しながら長生きするということはパラドックスではなく、真理そのものなのです。最近Natureという科学雑誌に人間は持続走をすることにより、脳が大きくなり、からだも大きくなって進化したという論文が掲載されました。ヒトの実験ではランニングをしたグループのほうが、額のすぐ内側にある“前頭連合野"の働きが活発になるという報告があります。前頭連合野は行動、思考をコントロールする司令塔です。判断力や思考力を司るとても大切な部分です。頭がいいというヒトは前頭連合野の働きが活発であるとも言えるのです。ネズミでは運動をすることによって、神経細胞を成長させる物質の分泌が盛んになるという報告もあります。さらに女性では、運動をすることにより、男性ホルモンと女性ホルモンの両方の分泌が増加すると報告されています。そして分泌された女性ホルモンは脂肪組織で女性ホルモンに変換されるのです。まさに運動することにより、肉体だけでなく、脳も若く保たれるのですね。そして私が提唱したいのは、運動の前にビタミンC、B、そして私が提唱したいのは、運動の前にビタミンC、B、Eやマルチビタミンを摂取しておくことです。眼の疲れを取るためにビルベリーも摂取しています。(図5)

ビルベリーはブルーべリーの100倍のアントシアニンを含んでいます。アントシアニンは網膜色素の再生を促進する作用があります。飲んだとたんに視野が明るくなります。

一日朝から晩までパソコンを見たり、患者様にdysportやコラーゲンを注射して眼を酷使しても目の疲れやショボショボはまったくきません。私は運動前にビタミンCは1グラムとっています。マラソンの前にビタミンCを大量(1.5g)摂取したグループと少量(0.5g)しか摂取しないグループを比較すると、ビタミンCを大量に摂取したグループのほうがストレスの指標である、ステロイドホルモンの分泌が少ないという報告があります。また私がぜひお勧めしたいのは、運動後に水分の充分な補給とビタミンCをたっぷり再摂取することです。運動後、私はレモン2個、アセロラ由来のビタミンCを100mgそして野菜ジュースを飲んでいました。運動前にビタミンCを1グラムもとっているのだからそれで充分だろうと思っていたのです。ある日アセロラ由来のビタミンCをたまたま700mgにしたところ、ある事が起きました。それは運動後に全身の血管が拡張したままになって、代謝が盛んになり疲労感が低下したことです。私は手のひらだけでなく前腕も、運動直後から診療の最中も、そして寝る前もずっときれいなピンク色をしています。(図6)

この写真は夕方撮影したものです。ビタミンCはビタミンEを還元する作用があります。ビタミンEは末梢血管の拡張作用を持っています。運動後にビタミンCをたっぷりとることにより、より多くのビタミンEが還元され、血管がより拡張して全身の隅々まで、栄養分が行くようになったのでしょう。そして自分でもえらいと思うのは、朝起きて、体がだるくて、今日は運動したくないなという日でも必ず運動するようにしていることです。

これにはコツがあります。そのコツをお教えしましょう。私は、プロ用のエアウォーカーを20分、ルームランナーを15分行っていますが、この時、ヘッドホンでトランスを聞きながら運動するのです。私はもともとダンスが好きで、学生時代にはよくディスコ(懐かしい言葉ですね)に踊りにいったのです。今もフェリーコースチンやアンダーワールドなどを聴くと体がかってに動き出すのです。エアウォーカーはペダルを足でハンドルを手と胴体で動かすマシンです。ランニングでは足の筋肉と心肺機能が主に鍛えられますが、エアウォーカーでは全身の筋肉が鍛えられます。そして何も考えずに、ヘッドフォンを使用してCDの音楽を眼を閉じて聴きながら運動をするのです。

音楽のビートにあわせて体を動かしていくと、心が無になっていくのです。そして、次にアンダーワールドや1200microgramなどのトランスやMisiaのDVDを見ながらルームランナーでひたすら疾走します。全身から汗が湧き出て、本当に気持ちがいいですよ。

運動の時、交感神経と副交感神経の両方のテンションが上がりますが、主としてテンションが上がるのは、交感神経です。そしてそのあとに、アセロラ3本、野菜ジュース一本を飲んで、筋肉強化のためのアミノ酸をとります。そしてレモン2個を『がぶり』です。(図7)

運動後のレモンは最高にうまいです。細胞の発電機であるミトコンドリアが必要とするクエン酸を大量に含んでいるからおいしいのでしょう。運動後は代謝が上がっておるために、ミトコンドリアで大量のクエン酸を必要とするのでしょう。体が必要なものはおいしいのです。そして運動も音楽も脳内麻薬であるエンドルフィンの分泌を促進します。そして、次に沈静作用のあるラベンダーのバスエッセンスや肌を丈夫にするマグネシウムを入れて、ゆっくり入浴します。この時はキースジャレットを主に聴きます。

私が一番好きなのはケルンコンサートです。この曲ほど心の琴線に触れる音楽はないと思います。キースと一緒にメロディを口ずさんでいると、心が高揚してきます。そしてふと気がつくと、私はキースジャレットという音楽の世界を漂うシャボン球になっているのです。運動と元気な音楽で主として、交感神経を活発にして、その後ゆったりと湯船につかりながら、心の琴線に触れる音楽を味わう、とても楽しい穏やかなひと時です。

この入浴と音楽が副交感神経のテンションを上げるのです。ですから私は外来で患者さんの治療をしているときや、お話をしているときに、ある程度交感神経の緊張が増加しますが、副交感神経のテンションも上がっているので、緊張しながらもリラックスした状態で仕事ができるようになったわけです。この方法はストレスで悩んでいる方にお勧めです。仕事とは他の生物が決してしないことです。これは非常にストレスになります。これを乗り切るコツが、副交感神経が優位になる穏やかで楽しい時間を持つことです。運動が苦手なら、好きな音楽を聞きながら、アロマをたいて、ゆっくりとヨガをすることも副交感神経を優位にします。仕事とは軽度のバトルモードが長期間継続するものです。バトルモード時は交感神経が優位になります。その前に副交感神経が優位に作業をすること、これがストレスに負けないコツです。交感神経が優位の場合、筋肉や眼、脳にはたくさんの血液が行きます。しかしながら肌への血流は低下してしまうのです。交感神経が緊張しても、副交感神経のテンションが増加していれば、肌での血流は低下しません。

そしてわれわれにとって一番こわいこと、それは死です。この現象は細胞レベルで考えると細胞の中にスムーズに栄養が入っていかないために細胞の活動が制限されるということです。細胞の中にスムーズに栄養分を入れる作用を持つのが、ビタミンCなどをはじめとするビタミン群や各種ミネラルやアミノ酸です。実は豆乳には各種ミネラル、すべての必須アミノ酸、そして神経伝達物質であるアセチルコリンがたっぷり入っています。(図8)

毎日豆乳を500ml飲みながら診療をしているという事は、脳や筋肉が必要とする栄養素をたっぷりとりながら作業をすることになります。そしてビタミン剤も取っているから、細胞が必要とする各種エネルギーがバンバン細胞のなかに入っていくので、当然肉体的ストレスがなくなります。肉体的ストレスが低下すれば精神的ストレスも当然低下します。そしてもうひとつ大切なことがあります。それは睡眠をたっぷりとることです。私うひとつ大切なことがあります。それは睡眠をたっぷりとることです。私は毎日たっぷり睡眠をとるようにしていますが、昼休みには必ず寝るようにしています。ほとんどの場合、数時間脳を使ったせいで爆睡できます。眠ることができなくても、横になってボーっとしていることで、交感神経緊張モードが解除されます。特に外来が忙しくなると、頭の中にモヤモヤしたものがたまってきます。私はこれがストレスによる交感神経の過剰な緊張のためだと思います。ボーっとするだけでモヤモヤがなくなるから不思議です。ちなみに私は陰イオンを発生する通称“爆睡まくら"を診察室に常備しています。(図9)

私がやっていることを簡単にまとめて見ましょう。(図10)

これらの効果として、●交感神経、副交感神経のバランスがよくなり●代謝が上がり、活性酸素を消去する●ビタミン、栄養素が細胞のなかにバンバン入っていく●リラックスしながら毎日が過ごせる●運動の結果、筋力や耐久力がアップした●肌がすべすべになり、ボディも引き締まってきた。●若く見られるようになってきた(図11、12)

写真は2003年9月のものと、2005年7月のものです。

顔全体が引きしまり、眼の大きくなっているのがおわかりいただけるでしょう。実は私は青山ヒフ科クリニックの外用剤やドクターケイの化粧品をたっぷり使用しています。スキンケア以外に、青山ヒフ科クリニックで行っているアンチエイジングをも自分の肌に行っています。クリニックで行っているアンチエイジングをも自分の肌に行っています。何を行っているかについてはいずれお話します。私がアンチエイジング作用を持っているものとして一番主役となっているものは、運動だと思います。運動した日としない日では、肌や体の調子が違います。休日はゴルフにはまっています。私ごとですが、最近ドライバーのロフトを10.5度から9度に変えましたが、それでも叩きにいくと、ボールがふけ上がります。ヘッドスピードを測定したら2005年6月の時点で45.8ありました。でもスコアはボロボロです。何もしないで一日ボケーとしている事はまずないのですが、このような日は体を体動かしたくてうずうずします。ストレスフルな現代社会を生き抜くためのコツ、それはストレスを抹殺することです。その主役が運動する喜びを思い出すことだと思います。

ストレスを抹殺すること、そして適切なスキンケアを行うことで、毛穴の開きや、シワ、タルミなどの肌トラブルが解消するだけでなく、体もいつまでも若い状態を保つことができるのです。スキンケアは、私はもともとアトピー性皮膚炎があるので、ケイローションの後にケイモイスチャーを使用します。また最近は肌のたるみが気になるので、青山ヒフ科クリニックのリフティングエッセンスを朝晩4プッシュたっぷりつけます。またゴルフを週に1?2回するので、強力な美白作用を持つケイホワイトをつけます。そして最後に、毛穴の開きを抹殺するケイエマルジョンを重ね塗りします。これらの化粧品は顔だけでなく、フェイスラインから首にかけて、たっぷりつけるようにしています。また、運動後には必ず脂肪の燃焼を促進する青山ヒフ科クリニックのスリミングローションを腹部を中心にたっぷりつけます。(図13)

とても贅沢なスキンケアですが、リフティングエッセンスだけでなく、ケイモイスチャー、ケイホワイト、ケイエマルジョンをたっぷり使用する快感は一度使用するともう病み付きです。

<注:2016年時点上記商品は終売しています>

私の患者様でも大勢の方が、私と同じスキンケアをして、ビックリされています。もう化粧品の浮気はしないというコスメフリークまでいます。これらの化粧品をすべて使用するとビタミンCの濃度だけで30%、レチノールも約1%に達します。乾燥肌、潤いのない肌、シミ、くすみ。シワ、タルミ、そしてにきび、毛穴の開きと永遠におさらばできるのです。贅沢なスキンケアとストレス抹殺、それが太く、長く人生を生き抜くコツでしょう。