ビューティ・コラムcolumn

第107回 グルタチオンはシミ、赤ら顔に有効です:グルタチオン導入コース登場

グルタチオンはトリペプチドという人のほぼすべての体内で合成される3つのアミノ酸からなる成分です。加齢やストレスで産生が低下します。グルタチオン自体が美白作用、活性酸素の消去作用を持っています。グルタチオンの最大の特徴はビタミンCを還元してビタミンCの作用を強化するということです。皮膚にはビタミンCとグルタチオン、そしてビタミンB群、ビタミンAが豊富に存在してクロストーク(協調作業)をしながら、美白、皮脂分泌抑制、毛穴縮小、炎症抑制(赤味低下)、代謝促進(アンチエイジング)を制御しているのです。これらの成分を外から入れることでこれらの効果が極めて高いレベルで発揮されます。下の4つのコースは高濃度のビタミンABCと高濃度のグルタチオンを使用します。いずれのコース、外用剤も前述した美容効果を発揮します。 

ビタミンABCブライトニングW導入コースビタミンABCとグルタチオンをイオン導入とノンニードルセラピー(電子穿孔法)で徹底的に皮膚に浸透させる贅沢なコースです。より高い美容効果をお求めの方へ。

ビタミンABCブライトニングコースビタミンABCとグルタチオンをイオン導入で皮膚に浸透させるリーズナブルなコースです。効率よく美容効果をお求めの方へ。

 VCブライトニングコースビタミンCとグルタチオンというコアとなる二つの成分を皮膚にイオン導入させるコースです。

 ブライトニングコースグルタチオンを皮膚にイオン導入するエッセンシャルなコースです。

毛穴レス美白ローション毛穴レスローションに高濃度グルタチオンを添加したローションです。毛穴縮小作用、美白作用、赤み低下作用を高いレベルで発揮します。

1.グルタチオンの美白効果と赤み低下効果

ビタミンCはシミ、赤ら顔、毛穴の開き、そしてニキビに有効です。ビタミンCの効果を増強する手段としてビタミンA(レチノール)やビタミンB群の外用や導入を青山ヒフ科クリニックでは行っており、好評を博しております。もっとビタミンCの効果をアップして、美白、毛穴の開き、アンチエイジングを発揮する手段はないかと考え、ピックアップしたのがグルタチオンです。 ビタミンCはいろいろな物質を還元する作用を持っています。還元作用を発揮したビタミンCは酸化型のビタミンCとなり、抗酸化力を失ってしまいます。ビタミンCは2段階に酸化します。水素をひとつ失ったモノデヒドロアスコルビン酸はビタミンB2が還元します。水素をふたつ失ったデヒドロアスコルビン酸、いわゆる酸化型のビタミンCはグルタチオンというアミノ酸が3つ結合したトリペプチドによって還元されるのです。グルタチオンはグルタミン酸、システイン、グリシンという3つのアミノ酸からなります。グルタチオンの効果を発揮するカギとなるアミノ酸はSH基を持つシステインです。システインはSH基の水素を活性酸素に与え、活性酸素を消去します。その結果グルタチオンは還元型から酸化型に変換します。酸化したグルタチオンを還元するのはNADPHという電子供与体です。ビタミンCは水相で強力に抗酸化作用を発揮しますが、常にビタミンCとペアになって抗酸化作用を増強するのがグルタチオンです。乾燥肌やくすみそして老化だけでなく、ニキビ、赤ら顔、毛穴の開きを促進する活性酸素は主にミトコンドリアで生じます。そのため細胞内のミトコンドリアのビタミンCやグルタチオンの濃度は血液中や細胞外に比べて数百倍高くなっています。

上の図に示すようにグルタチオンは細胞内で合成され、細胞内外のビタミンCはグルタチオンにより還元されます。皮膚は代謝に伴う活性酸素以外に紫外線により活性酸素を生じる唯一の臓器です。皮膚には常に大量の活性酸素が生じているのです。活性酸素消去能の高いビタミンCやグルタチオンが一番高濃度で分布する臓器が皮膚です。紫外線を直接浴びる表皮は真皮の5倍から10倍のビタミンCやグルタチオンが存在しています。ビタミンCやグルタチオンの濃度は加齢と共に低下しますが、ストレスでも低下します。ビタミンCを摂取することでグルタチオンの濃度が上昇、グルタチオンを摂取することでビタミンCの濃度が上昇することは報告されています。ビタミンCとグルタチオンは互いに相談、調整をするクロストークをしながら、体内の酸化、還元バランスの恒常性を維持しているのです。

上の図に示すように皮膚は紫外線(UVA,UVB)により多くの活性酸素を生じるので、それを消去するSOD カタラーゼのような酵素やビタミンC、グルタチオンなどの抗酸化物質が大量に存在しています。したがってビタミンC同様に外用やイオン導入でグルタチオンを皮膚に浸透させることができれば、より強力に活性酸素を消去できアンチエイジング作用を発揮することが期待されます。グルタチオンの内服や点滴により、肌が白くなった、しわが浅くなった、水分の蒸散量が低下したという報告はあります。一部の施設ではグルタチオン点滴を白玉点滴と呼んでいます。グルタチオンをイオン導入している施設は日本でもあります。しかし、グルタチオンだけを外用して美白作用、皮膚バリア機能が増加したという正式な報告や論文は僕の知る限りではないようです。グルタチオンを溶解すると不安定になる、皮膚に浸透しにくい、そして独特の臭いがあるというのがその理由のひとつです。一方、酸化型のグルタチオンは、溶液中でも安定で皮膚の中でグルタチオン還元酵素により還元されて、グルタチオンとしての効果を発揮することが報告されています。酸化グルタチオンを外用して美白効果、しわ低下、保湿効果が認められたという論文が化粧品会社より報告されています。そこで僕は考えました。酸化型のグルタチオンは分子量613で還元型のグルタチオンの分子量は307です。還元型のグルタチオンの分子量は酸化型の分子量の約半分です。グルタチオンの構造を見ても特に皮膚に入りにくいということはなさそうです。高濃度グルタチオンローションを作成して外用やイオン導入をしてみました。皮膚の色調は写真撮影以外に色彩色差計を用いてLab値を測定しました。L値は明度指数です。明るくなると値は増加します。a値は皮膚の緑色から赤色を示します。赤みが増加すると値は大きくなります。b値は皮膚の青色から黄色を示します。黄色調が増加すると値が大きくなります。下の写真、左は外用前、は高濃度グルタチオンローションを約40日外用した後です。

数値は左からL,a,bの値を示します。右頬、左頬共に明度指数が増加し、赤味指数は低下しています。また肌のしっとり感、滑らかさが主観的に増加しました。これはグルタチオンの内服や酸化型グルタチオンの外用効果で皮膚の水分量が増加して、経皮的水分の蒸散量が低下したという報告と一致しました。

この方は高濃度グルタチオンをイオン導入しましたが、導入後は肉眼ではっきりと白くなったと認められ、L値は右頬では2.2増加しました。この値は美白化粧品を長期使用して有効と判定される効果です。赤味指数も右頬では2.6と大幅に低下しています。

上の方は左側の顔にのみグルタチオンを導入しましたが、導入後は顔全体や頸部が白くなり赤みが低下しました。グルタチオンはビタミンCと違い、皮膚に浸透して3つのアミノ酸に分解され細胞内で再合成されます。浸透したアミノ酸が移動して周囲の皮膚の細胞がグルタチオンを合成したのでしょう。ビタミンCが瞬時に皮膚の色を白くするのは、メラニン産生を抑制するだけでなく、ビタミンCから放出された水素が、成熟した混合メラニンを還元して成熟一歩手前の無色のメラニンにするからだといわれています。もしグルタチオンがSH基から水素を放出して成熟したメラニンを還元するのであれば、ビタミンCで処理したあとのメラニンをさらに淡色化、あるいは無色化する可能性があります。グルタチオンはチロジナーゼというメラニン産生の鍵となる酵素に結合してその活性を抑制するだけでなく、メラニン産生の中間物質であるドーパキノンにも結合して黄色から赤いフェオメラニンを産生させ、黒褐色のユウメラニンの産生を抑制というビタミンCとは異なる美白作用を発揮するはずです。

上の図に示すようにビタミンCは成熟した混合メラニンに水素イオンを供給してこれを還元します。もしグルタチオンが皮膚に浸透してメラニンを還元するのであれば、グルタチオンからさらに水素イオンが混合メラニンに供給され直ちに皮膚の明度指数をさらに増加させます。

上の図にしますようにグルタチオンは新たに水素イオンを放出することでメラニンだけでなく蛋白やDNAの酸化や炎症を高いレベルで抑えることが期待できます。グルタチオンの抗炎症作用、ニキビに対する作用やアンチエイジング作用については次回と次々回のコラムで解説します。