ビューティ・コラムcolumn

第125回 毛穴の開きの原因と対策について

毛穴が開く原因は下記のものがあります。

 

皮脂の過剰分泌

毛穴の周囲の組織の衰え

遊離脂肪酸の産生による毛穴の出口の炎症

 

毛穴が開くという現象に必ず必要なのが、皮脂の過剰分泌です。思春期になると皮脂分泌を促進する男性ホルモンが急激に増加します。10代の頃は増加する男性ホルモンに急激に反応して皮脂分泌が増加します。10代末から20代に受験勉強や就職すると、今度はストレスが原因になり皮脂分泌が増加します。20代後半から30代になると皮脂分泌を抑制する女性ホルモン(エストロゲン)が低下して、相対的に男性ホルモンのレベルが増加して、皮脂分泌が増加します。実際にはこれらの原因は別々に存在するだけでなく、一緒に存在して、仕事によるストレスを受けながら、加齢により男性ホルモンが増加するという現象も起こります。皮脂分泌が増加すると毛穴は開きますが、必ずしもニキビは引き起こしません。毛穴の出口が閉塞して嫌気性環境になると、ニキビが生じます、詳しくは“ニキビの発生メカニズムと治療法について”をご覧ください。

なぜストレスがかかると皮脂分泌が増加するのでしょうか?

ストレスは生体に生命の危機を及ぼす現象とそれに対する反応といわれています。究極のストレスは外でライオンやクマと出会ってしまった場合です。この時人は“闘争か逃走” という究極の選択をします。一方慢性のストレスでは、朝早く起きて、満員電車に乗って、いやな上司と仕事をするというような場合は皮脂分泌が増加して毛穴が開きます。どうしてでしょうか?人は精神的ストレスを、異物として認識してこれを排除するために炎症反応を起こします。かぶれを起こす化粧品が皮膚についた場合、蛋白分解酵素などが放出され異物が付着した皮膚の細胞を一刻も早く体外に排出しようとします。実は精神的ストレスに対しても人は同じ反応を起こしてこれを排除しようとします。上の右図に示すように、精神的ストレスがあると、精神的ストレスが皮膚に存在すると勘違いしてしまい、これを外に排除しようとする炎症反応が起こります。その結果皮膚のバリア機能が低下します。その結果乾燥肌や敏感肌になるのを防ごうとして皮脂分泌が増加して毛穴が開いてしまうのです。ストレスを感知すると中枢や皮膚から皮脂分泌を促進するCRH( corticotropin releasing hormone)というホルモンが、副腎皮質からはコルチゾール(いわゆるステロイド)が分泌されますが、これが皮脂腺を刺激して皮脂分泌を増加します。CRHやコルチゾールは炎症を抑える作用も発揮します。CRHは皮膚に存在する肥満細胞を活性化して蛋白分解酵素やヒスタミンやIL1βなどのサイトカインを放出させて、炎症を起こし皮膚の剥離を起こして異物を排除しようとします。男性ホルモンも増加して皮脂分泌を増加します。これはストレスを排除するために起きた皮膚や全身の炎症反応に対応した反応です。ストレスで皮脂分泌が増加するのは、炎症に伴い皮膚のバリア機能が低下するのを防いで、たとえ毛穴が開いても猛吹雪の中外出しても乾燥肌、敏感肌になるのを防ぐ作用を発揮するためです。我々の祖先にはとてもありがたい機能です。ところが我々は猛吹雪の中で食糧を探すことをもはやしないので、 開いた毛穴は皮膚の美容上の最大の問題点になるのです。もし肌が乾燥するのであれば、保湿クリームでスキンケアすればいいのです。

ストレスやイライラは交感神経の緊張を促進します。上の図に示すようにイライラは皮脂腺のそばにある肥満細胞という細胞から蛋白分解酵素を放出させます。蛋白分解酵素は皮脂腺細胞のPAR2という蛋白分解酵素の受容体を刺激して皮脂分泌を増加させるだけでなく、血管透過性を低下させて皮膚を赤くします。蛋白分解酵素はIL1βをいうサイトカインの産生を促進して表皮細胞の増殖を盛んにします。その結果毛穴がつまりやすくなります。問題はストレスが皮膚に付着しているわけでないので、炎症反応が慢性的に継続するということです。炎症は全身で起こり、下痢、便秘、うつ、慢性疲労、高血圧などを引き起こします。皮膚は心の鏡といわれるゆえんです。 毛穴が開いている方で、元気な方はあまりいません。これは全身で穏やかな炎症が起きて生活のアクティビティを下げているからです。

皮脂分泌が過剰になると、アクネ菌が放出するリパーゼという皮脂を分解する酵素が増加してオレイン酸などの遊離脂肪酸が増加します。遊離脂肪酸が毛穴の出口の表皮細胞を刺激すると炎症が起き、やはりIL1βなどの炎症性サイトカインが分泌され、表皮細胞は増殖します。その結果毛穴の出口が狭くなり、皮脂が皮膚表面に分泌されにくくなります。それを避けるために毛穴の出口の細胞は外側に広がり、毛穴の出口がすり鉢にへこみます。皮脂分泌がとても盛んな方に時に起こります(下図)

このような反応は誰でもある程度起こります。これはオレイン酸や炎症を起こすサイトカインなどにより細胞内のカルシウムイオンが増加し、炎症が起こるために起こります。塩素イオンを細胞内に誘導するグリシンあるいはグリシルグリシン(GG)が炎症を抑えるのに有効です。GGは毛穴レスローションや毛穴レス美白ローションに配合されています。

上は僕にGGの構成アミノ酸であるグリシンをイオン導入した際の写真です。色が白くなり毛穴が閉じています。

皮脂腺細胞は炎症の際に生じる蛋白分解酵素の受容体(PAR2)を持っており、炎症で増加した蛋白分解酵素が皮脂腺を刺激して皮脂分泌を増加させることが判明しました。カフェインやトラネキサム酸は皮脂分泌を促進する炎症を抑制し、さらにトラネキサム酸は炎症の際に生じる蛋白分解酵素を阻害して、蛋白分解酵素がPAR2に結合することを抑えて皮脂分泌を抑制します。カフェインやトラネキサム酸は毛穴引き締めホワイトエッセンスやアンチエイジングローションに配合されています。全くストレスを感じていないのに毛穴が開くこともあります。体質的に皮脂分泌が盛んな方で、もともと皮脂分泌を促すホルモンの分泌が多いあるいは、ホルモンに対する感受性が高い方です。

開いた毛穴を閉じるには皮脂分泌を抑え、毛穴の周囲のコラーゲンの合成を促進すること、そして毛穴を中心に目に見えない弱い炎症が常に起きているので、これらのすべてを抑えることが大切です。これらの作用をすべて持つのがビタミンABCやグルタチオン、カフェインそしてアンチエイジングローションに配合したPQQです。

上の方は75歳の酒さの方です。毛穴レス美白ローション、毛穴引き締めホワイトエッセンス、アンチエイジングローションなどを使用しました。頬の毛穴が閉じただけでなく法令線の低下、頬のシワの低下が認められます。これらの外用剤で毛穴をケアする利点はニキビ、赤ら顔、シワ、タルミ、くすみなどにも効果を発揮することです。これらの成分をイオン導入やノンニードル導入で大量に浸透させることも可能です。今お使いの保険適応の外用剤と組み合わせて使用することも可能です。そしてケミカルピーリングは閉塞した毛穴を開放して皮脂の排出をスムーズにする作用だけでなく炎症を抑える作用を発揮します。ビタミンCだけでなくビタミンABCやグルタチオンやトラネキサム酸を一緒に導入することも可能です。皮脂分泌を抑制して毛穴を縮小するジェネシスやグリーンジェネシスとの併用も可能です。保険適応の治療のみから開始することももちろん可能です。まずはスキンケアから開始して、効果はない場合はイオン導入、レーザーなどで徹底的にニキビを治します。

上の方はビタミンBCを配合した毛穴レス美白ローション、レチノールを配合したリフティングエセンスの外用とビタミンABCとグルタチオンのイオン導入をした方です。

上の方はソニックウオッシュピーリングとカフェインなどを導入するハイパーエネジーコースを行った方です。1回のトリートメントで毛穴が閉じ、色が白くなりほうれい線も浅くなっています。

 

上の方はジェネシスとグリーンジェネシス照射14時間後です。 頬と鼻の毛穴が閉じて肌全体の明度が上がっています。スキンケアは行っていません。

 

上はボツリヌス菌の菌体外毒素であるニューロノックス(ボトックスと同じ成分)を鼻の皮膚に注射した方です。鼻は筋肉がないので注射しても表情が不自然になったり笑いずらくなることはありません。ニューロノックスは炎症を起こす肥満細胞を抑制して赤味を抑え、皮脂分泌を抑える効果を発揮します。コラーゲンの合成を促進するので、鼻が高くなっています。

上の方は酒さの方です。ニューロノックスを頬に注射して1か月後です。赤味は低下して毛穴も縮小しています。この状態は約半年継続しました。

 

▶青山ヒフ科クリニックの外用剤(保険適用外です)

ビタミンCローション、ビタミンCクリーム(ビタミンC配合)

毛穴レスローション(ビタミンC、ビタミンB群、GG、甘草エキス、各種植物エキス配合)

毛穴レス美白ローション(上記にグルタチオン配合)

毛穴引き締めエッセンス(カフェイン、トラネキサム酸、アミノ酸、ポリフェノール配合)

リフティングエッセンス(レチノール配合)

 

▶内服(スピノロラクトン以外は症状により保険適用です)

ビタミンC、ビタミンB群、ハイチオール(アミノ酸)、抗生物質、漢方薬

 

▶エステトリートメント(保険適用外です)

ビタミンCイオン導入、そのほかビタミンABC、グルタチオン、トラネキサム酸

カフェインなどのイオン導入やノンニードル導入

 

▶ニキビ注射(保険適用外です)

アンチアクネ注射、抗菌注射

 

▶光治療(保険適用外です)

ジェネシス照射

グリーンジェネシス照射